■WDMとは
WDM(Wavelength Division Multiplexing )とは、波長分割多重方式と呼ばれる大容量の信号を伝送するための光通信技術の1つです。図1にWDM伝送の模式図を示します。WDMの送信側では異なる波長の光を出射する複数の半導体レーザ(LD)を用意し、各LDを変調して信号光を造ります。これらの信号光を合波器(Multiplexer: Muxともいう)を使って1本の光ファイバに入れ伝送します。受信側では分波器(DeMultiplexer: DeMuxともいう)を使って各波長の光に分けてから光検出器(PD)で信号を受信します。1つの波長で信号を送るのに比べ、2つの波長で送れば2倍、3つの波長では3倍というようにたくさんの波長を使うほど多くの信号を送ることができます。
図1.WDM伝送の模式図
■CWDM (Coarse WDM)は波長間隔の広いWDM
WDM伝送では多くの波長を使うほど多くの信号を送れますが、多くの波長を使うには一定の波長帯を狭い波長間隔で分ける必要があります。波長間隔が狭いとLDの波長や各波長を分離するフィルタなどの部品を高精度にする必要があるため価格が高くなってしまいます。一方、波長間隔が広いと送れる信号量は少なくなりますが、安いシステムになります。そこで、ITU-T(国際通信連合の電気通信標準化部門)では用途に応じて適したシステムが使えるようにWDMの波長間隔を2通り定めています。1つは、DWDMと呼ばれる波長間隔の狭い規格で大容量長距離伝送に適しています。もう一方がCWDMと呼ばれる波長間隔の広い規格で、容量がさほど大きくない50~80km程度の伝送に適しています。
図2にCWDM波長を示します。中心波長はOバンド, Eバンド, Sバンド, Cバンド, Lバンドを含む1271nmから1611nmを20nm間隔で分割した18波長です。実際には18波長全てを使うケースは少なく、1471nm~1611nmの8波長か1531nm~1611nmの中の4波長が多く使われます。この波長帯では一般的な量産光部品を多く使用できるためです。例えば、波長の合分波に用いるCWDMフィルタやユニット化したMux/DeMuxユニット、特定の波長を取り出したり付け加えたりする光アドドロップモジュール(OADM)などを利用できます。
近年では1300nm帯(Oバンド)の4波長を用いた100GbE-LR4による高速ネットワーク光通信技術が確立されており、これまで主要とされていた波長帯のCWDMとは違ったこの波長帯のCWDMの利用は注目を集めています。
図2.CWDM波長
■DWDM (Dense WDM)は波長間隔の狭いWDM
図3にDWDM波長を示します。DWDMの場合は波長ではなく光の周波数で間隔が決められています。DWDMは光アンプを使った長距離伝送を前提としているためアンプし易いCバンドとLバンドだけが使用され、伝送容量を大きくするため非常に細かく波長が分割されています。100GHz間隔の他に200GHz間隔の規格もあります。詳細はこちらを参照してください:ITU Grid DWDM Reference Table。波長の合分波にはDWDMフィルタ、Mux/DeMuxユニット、AWGモジュール、光アドドロップモジュール(OADM)などの量産光部品を使用できます。
図3.DWDM 周波数(波長)
■ WDMが利用されるネットワーク
図4に光通信ネットワークのイメージ図を示します。ネットワークは、主要都市間を結ぶコアネットワーク、都道府県内の主要エリアを結ぶメトロネットワーク、各家庭や企業へ繋がるアクセスネットワークに分けられます。DWDMはコアネットワークに使用されます。多くの波長を使って大容量とし、光アンプを使って長距離伝送します。CWDMは主にメトロネットワークで使われます。CWDMは光アンプを使わないことを前提にしており、通信距離は50km~80km程度です。都道府県の大抵のエリアは光アンプなしでカバーできますが、ファイバ損失が想定以上に大きかったり、もう少し先まで距離を伸ばしたいときなどは弊社が開発したCWDMアンプを利用することができます。
図4.光通信ネットワークのイメージ
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