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偏光子(ポーラライザー)とは

■偏光子(ポーラライザー)とは

 偏光子(ポーラライザー:Polarizer)は、特定の方向の直線偏光だけを通す素子です。偏光板とも呼ばれます。自然光など非偏光の光から直線偏光を取り出す場合などに使われます。
偏光子は、利用する物理現象によってa)二色性(選択吸収)型、b) 複屈折型、c)反射(散乱)型に分けられます。

1)二色性(選択吸収)型は、特定方向の直線偏光成分だけを透過させ、それに垂直な方向の偏光成分は反射させたり吸収させたりする素子です。ポラロイドなどのポリマーを使ったものや電気石(トルマリン)、方解石(カルサイト)などの鉱物結晶を使ったものがあります。

2)複屈折型*1)は、2個の複屈折結晶プリズムを組み合わせ、互いに直交する直線偏光の一方を全反射により除去することで直線偏光を作りだす素子です。二コルプリズム*2)やグラン・トムソンプリズム*3)などが主に使われます。

3)反射(散乱)型は、ブルースター角*4)で反射した光が完全に偏光していることを利用して直線偏光を作り出す素子です。ただ、一回の反射で反射する量(反射率)が少ないので、ガラス板などの反射材を多段階に重ねたものが使われます。

*1)複屈折(Birefringence)とは
光が結晶などの特定の分子配列や構造を持つ物質(例えば方解石結晶)を透過したときに偏光方向によって2つの光線軌道、通常光線(Ordinary Ray)と異常光線(Extraordinary Ray)、に分けられる現象です。この現象は、偏光の向きに対して物質の屈折率が異なることによって生じます。通常光線に対する屈折率は入射角には依存しませんが、異常光線に対する屈折率は入射角によって変化するために軌道が変化します(図1)。

図1. 複屈折のイメージ図

*2) 二コルプリズムとは
方解石の結晶を特定の結晶面で二つ切り出し、それらを張り合わせてつくったプリズムです。光学軸に対する偏光方向の一方だけを透過させ、もう一方を界面で全反射させて直線偏光を出力します。光学軸に対し、結晶の入射面を適切に傾ける必要があります(図2)。

*3)グラン・トムソンプリズムとは
基本的な動作は二コルプリズムと同じですが、二つのプリズムを張り合わせる際に空気の層を設けることにより、利用できる波長範囲を大きくできるとともに、入射面を光軸と垂直にすることができます(図2)。

図2. ニコルプリズムとグラン・トムソンプリズム

*4)ブルースター角(Brewster’ angle)とは
屈折率の異なる物質の境界面において、入射光の電界成分が境界面に対して垂直に偏光した光の反射率が0となる(すべて透過する)入射角のことです。自然光がブルースター角で入射したときの反射光は偏光した光となります。
ブルースター角θBは、入射側の屈折率をn1、透過側の屈折率をn2とするとき次式から求められます(図3)。

ΘB = arctan(n2 / n1

また、入射角がブルースター角のとき、透過光(屈折光)と反射光とのなす角は90°となります。

図3. 偏光の屈折と反射(ブリュースター角の場合)

 

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