■光サーキュレータとは
光サーキュレータは光通信におけるアドドロップ(OADM)や双方向光アンプ、FBGセンサシステムにおける信号光の取り出しなどに使用される光部品で、光の進む向きで偏光の回転方向が逆になるファラデー素子の特異な性質が利用されています。3ポートと4ポートタイプの構成があり、3ポートタイプではポート1に入射した光はポート2に、ポート2に入射した光はポート3に出射します(図1)。(フルサーキュレーティングでない)4ポートタイプではポート1→ポート2、ポート2→ポート3、ポート3→ポート4のように光が進み(図2)、フルサーキュレーティング4ポートタイプでは前記に加えてポート4→ポート1も可能です(図3)。また、光アイソレータのように入射光の偏光状態によらない偏光無依存型と偏光状態に依存する偏光依存型の光サーキュレータがあります。
図1 3ポートサーキュレータの動作
図2 4ポート光サーキュレータの動作(フルサーキュレーティングでない製品の場合)
図3 4ポート光サーキュレータの動作(フルサーキュレーティング光サーキュレータの場合)
■偏光無依存型光サーキュレータの構造と光の進み方
多く使われている偏光無依存型光サーキュレータについて説明します。主な使用部品はファラデー回転子、1/2波長板、偏光ビームスプリッタ、反射ミラー(あるいはプリズム)で原理的な構造は図3のようになっています。偏光ビームスプリッタはP偏光を透過し、S偏光を反射する素子です。ファラデー回転子は磁性体のファラデー効果を利用して偏光面を45°回転させる素子です。1/2波長板は偏光面を45°回転させます。
図3(a)はポート1からポート2へ進む光を示しています。偏光ビームスプリッタで直交するP偏光とS偏光の二つの偏光に分離された光はファラデー回転子と1/2波長板で45°ずつ同じ方向に計90°回転するのでP偏光はS偏光に、S偏光はP偏光に変換された後、偏光ビームスプリッタで合波されポート2に出力します。
図3(b) はポート2からポート3へ進む光です。やはりP偏光とS偏光に分かれて進みますが、1/2波長板で45°回転した光はファラデー回転子の非相反性という特異な性質のため逆向きに45°回転させられ元に戻るのでP偏光/S偏光の変化が起こりません。そのため光はポート1ではなくポート3へ出力されます。同様に、ポート3に入射した光はP偏光/S偏光の変化が起こるのでポート2ではなくポート4へ出射されます。ポート4へ入射した光はP偏光/S偏光の変化が起こらないのでポート3ではなくポート1へ出力します。
図3.偏光無依存型光サーキュレータの構造と光の進み方
■動画での解説
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