Yb:KGW(KGd(WO4)2)レーザー結晶は、広く利用されているNd3+を添加した結晶よりも重要な利点を有している、優れたレーザー発振材料です。レーザ波長が1023nm~1060nmと広いので、ピコ秒やフェムト秒といった短パルスレーザーを作り出すことができます。また、980nmの吸収スペクトルが広く、高い吸収があるので、レーザーダイオード(LD)励起を効率的に利用することができます。さらに、Yb3+を添加したYAGと比較して、吸収断面積が大きいので、二準位のYbで励起状態を作るのに必要な励起強度が最小限で済むという利点があります。

■ 構造と性質

結晶構造 単斜晶, 点群 C2/c
格子パラメータ   a = 8.09Å ; b = 10.43 Å ; c = 7.588 Å°
β=94.4°
モース硬度 5
質量密度 7.27 g/cm3
融点 1075℃
熱伝導率 K[100] = 0.026 ; K[010]= 0.038 ; K[001] = 0.034 (W x cm-1 x oK-1) (at 373oK)
熱膨張係数 α[100] = 4 x 10-6 x oK-1 ; α[010]= 1.6 x 10-6 x oK-1 ; α [001]= 8.5 x 10-6 x oK-1

■ 光学および波長特性

レーザ波長 1023 – 1060nm
屈折率 nq = 2.033 ; np = 2.037 ; nm = 1.986 (at 1067nm)
吸収帯域 981nm (半値全幅 3.7nm)
蛍光寿命 600 μs (添加濃度 5%)

■ 仕様

Yb添加濃度 5%
最大全長 50mm
寸法公差 (W±0.1mm) x (L+1.0/-0.1mm)
平行性 < 30″
垂直性 < 15′
表面品質 20/10 (MIL-PRF-13830B)
コーティング ARコート