GTR-KTP(Gray Track Resistance KTiOPO4)結晶は、商用・軍用レーザーとして幅広く利用されている非線形光学結晶です。従来のKTP結晶には、グレイトラック損傷によって高繰り返し高出力レーザー装置への適用に限りがでてしまうという重大な欠点がありました。グレイトラック損傷は、強い緑のCWレーザー(532nm)を使い、時間当たりどれくらい結晶に吸収されたかで測定することができます。この測定は光熱コモンパス干渉計を用いて行うことができます。また、KTPとGTR-KTPを10ns、1Hzの条件のレーザーで試験したところ、GTR-KTPはKTPの450MW/cm2を大きく上回る18KW/cm2(at 1064nm)の損傷閾値を有することが分かりました。

 

1.グレイトラック前の縦方向の吸収試験(at 1064nm)

 

GTR-KTPの吸収は従来のKTPの1/10程度であることがわかります。

2.グレイトラック試験(at 1064nm)

緑色レーザー(400mW、ビーム径0.07mm、パワー密度10KW/cm2)を結晶に入れると、赤外吸収が増加します。この現象はグレイトラック損傷と相関性があります。以下のグラフを見るとKTPとGTR-KTPの吸収の差がよくわかります。

3.グレイトラック後の横方向の吸収試験(at 1064nm)

4.グレイトラック後の横方向の吸収試験(at 532nm)

5.可視および紫外領域における透過曲線