Nd:YVO4レーザー結晶は、現在販売されているレーザー結晶の中で、特に低出力から中出力のダイオード励起のための最も効率的なレーザー結晶です。Nd:YVO4は、主に吸収特性や放出特性でNd:YAGを上回っています。レーザーダイオード(LD)で励起すると、Nd:YVO4には近赤外から緑、青、紫外までの高調波変換が可能な高い非線形光学(NLO)結晶(LBO、BBO、KTPなどの)の特性も有しています。すべての固体レーザーを構築するこの仕組みは、レーザー加工、分光、ウェーハ検査、ライトディスプレイ、医療診断、レーザー印刷、データ記憶装置などの最も広範囲の分野への応用が可能な理想的なレーザーツールです。Nd:YVO4のダイオード励起固体レーザは、特に小型設計で単一縦モード出力が必要な場合において、今まで使用されていた水冷式イオンレーザーおよびランプ励起レーザーから置き換わってきています。

■ Nd:YVO4結晶がNd:YAGより優れている点

・808nm付近の励起帯域幅において吸収係数が約5倍高い
・1064nmのレーザ波長において誘導放出断面積が約3倍大きい
・レーザ閾値が低くスロープ効率が高い
・大きな複屈折をもった一軸結晶で、直線偏光のみの放出

■ 構造と性質

結晶構造 正方晶, 空間群 D4h-l4/amd
a=b=7.1193Å, c=6.2892Å
個数密度 1.26×1020atoms/cm3 (Nd:1.0%)
質量密度 4.22g/cm3
モース硬度 4~5
熱膨張係数 αa=4.43×10-6/K
αc=11.37×10-6/K
熱伝導係数 //C:0.0523W/cm/K
⊥C:0.0510W/cm/K

■ 光学および波長特性

レーザ波長 1064nm, 1342nm
熱光学係数 dno/dT=8.5×10-6/K
dne/dT=2.9×10-6/K
誘導放出断面積 25×10-19cm2  (at 1064nm)
損傷閾値 >1GW/cm2 (条件 : 1064nm, TEM00, 10ns 10Hz(ARコート))
蛍光寿命 90μs (Nd 1%)
吸収係数 31.4cm-1 (at 810nm)
固有損失 0.02cm-1 (at 1064nm)
利得帯域幅 0.96nm (at 1064nm)
偏光レーザ放出 π偏光 ; 光軸に平行(c軸)
ダイオード励起光効率 >60%
セルマイヤー方程式(λの単位:μm) no2=3.77834+0.069736/(λ2-0.04724)-0.010813λ2
ne2=4.59905+0.110534/(λ2-0.04813)-0.012676λ2

■ 仕様

寸法公差 (W±0.1mm) x (H±0.1mm) x (L+0.5/-0.1mm)  (L≧2.5mm)
(W±0.1mm) x (H±0.1mm) x (L+0.2/-0.1mm)  (L≦2.5mm)
透過波面歪み ≦λ/4 (at 633nm)
有効口径 >90% (中心部)
面取り ≦0.2mm (at45°)
平坦度 λ/8 (at 633nm) (L≥2.5mm), λ/4 (at 633nm) (L<2.5mm)
表面品質 10/5 to MIL-PRF-13830B
平行性 >20
垂直性 ≦5
角度許容値 ≦0.5°